NTTドコモ、データインサイト活用でオンボーディング成功率60%を実現
日本の大手携帯キャリアであるNTTドコモは、数百万のユーザーを分析して、ユーザーエクスペリエンスの改善や複数サービスにまたがるアクションの促進しています。
インサイト/アクション/成果:NTTドコモは1億人以上のユーザーを抱えており、シンプルさと詳細なインサイトを兼ね備えたデータツールを求め、Amplitudeを導入しました。現在、400人のビジネスチーム担当者が毎日、データ専門家の関与なしでファネル、ポートフォリオ、オーディエンス機能を使用しています。個々のメンバーがユーザーエンゲージメントのボトルネックや隠れた相関関係を発見できるようになり、これらのインサイトはUI/UX改善に活用され、新規ユーザーのQRコード決済完了率をオンボーディングの改善で20%向上させました。さらに、マーケティングオートメーションのシナリオ最適化によりコンバージョン率は8倍に向上しています。
NTTドコモは通信だけでなく、、決済、オンラインバンキング、エンターテイメント、ヘルスケアなど多岐にわたるサービスも提供しています。そのため、顧客基盤非常に大きく、たとえば、当社のポイントプログラムには1億人のアクティブメンバーがいて、日本人口の約80%を占めます。
これほど多様かつ膨大なデータの持つ潜在力を最大限に活かすためには、賢いデータ戦略と、それを実現するための適切なツールが不可欠です。
データプールからインサイトを引き出す
NTTドコモのデータ部門マネージャーとしての私の大きな目標は、ビジネスチームが膨大なデータプールから最大限のインサイトを引き出せるよう支援することです。複数サービスでのユーザーエンゲージメントを向上させ、ユーザーを理解するためのツールを探していました。強力な分析機能を持ちつつも、使いやすいことが条件でした。
ビジネスチームがデータ専門知識なしでデータを活用できる環境を提供したいと考えていたので、Amplitudeはまさに革新的なツールでした。さまざまなサービスにわたる顧客の行動や特徴を迅速かつ容易に深く理解できるようになり、ビジネスの収益拡大に貢献しました。
Amplitudeの導入は1年半前に開始しました。日本のAmplitudeのマネジメントチームおよびサポートチームの協力により、オンボーディングはスムーズに進み、短期間で「気づきの瞬間」を実感することができました。
Amplitudeはまさに革新的なツールでした。 さまざまなサービスにわたる顧客の行動や特徴を迅速かつ容易に深く理解できるようになり、ビジネスの収益拡大に貢献しました。
オンボーディング手順の改善で完了率を20%向上
当社は多くのサービスを提供しているため、Amplitudeを使って数々のひらめきの瞬間を経験してきました。金融決済分野で特に印象的だったのは、「d払い」サービスに関する件です。主要サービスの1つである「d払い」では、ユーザーがアプリをインストールし、QRコードを読み取って支払いを行うことができます。
Amplitudeのファネル分析を行ったところ、オンボーディング完了率がわずか40%であることが判明しました。詳細を調べた結果、ユーザーはサービスの利点を理解するために複数のチュートリアル画面を経由する必要があり、その長いプロセスの途中で多くのユーザーが離脱していることがわかりました。特に最初の画面で43%が離脱していたのです。
この予想外の事実を受け、、ユーザーエクスペリエンスを大幅に見直し、最初の画面においてサービスの利点が明確に示されるようにしました。このシンプルなUXの変更により、オンボーディング完了率は60%にまで向上しました。
ここで重要なのは、必要な情報はすでにデータ資産として揃っていたという点です。肝心なのは、適切なツールを活用して、そこからインサイトを引き出して行動につなげることでした。Amplitudeのファネルチャートは、顧客のオンボーディングプロセスを改善するために役立つ実用的なインサイトを示してくれたのです。
Amplitudeに着想を得たシンプルなUXの変更により、コンバージョン率は60%にまで向上しました。
クロスサービス分析によってマーケティング施策の効果が8倍に向上
Amplitudeのポートフォリオから得たインサイトに基づくシナリオの展開により、コンバージョン率は2%から16%以上に向上し、顧客獲得コストが従来の1/8にまで低減しました。Amplitudeがもたらしたもう一つの大きな成果は、、オンラインバンキングサービスに関するものでした。複数のサービスを積極的に利用する顧客を増やすことは、当社における成長目標の1つであり、ROIの面でも非常に重要です。しかしながら、数百万のユーザーと彼らが利用するサービスの間の関連性を見つけ、クロスセルの機会を特定することは技術的に非常に難しい作業です。
Amplitudeのポートフォリオ機能はここで大きな力を発揮しました。この機能により、さまざまなサービスをすべて1つのビューに統合し、データを解析し、複数のサービスにまたがるユーザー行動の関連性を見つけられるようになりました。
オンラインバンキングチームが複数のサービスにまたがるデータを調査した結果、顧客がクレジットカードやQR決済の設定を変更したり、預金の調整を行ったりすると、新しい口座を開設する可能性が高いことが明らかになりました。このインサイトはポートフォリオビューから直接得られたもので、非常に価値のある情報でした。オンラインバンキングチームはその後、Amplitude Audiencesを活用して、行動特性に基づく顧客セグメントに対してマーケティングオートメーションのシナリオを設定しました。
プロジェクトの成果を初めて確認したとき、その効果の大きさに驚かされました。Amplitudeのポートフォリオから得たインサイトに基づくシナリオを展開したことで、コンバージョン率は2%から16%以上に向上し、顧客獲得コストは従来の1/8にまで低減しました。
複雑さの解消
私にとって、Amplitudeといえば「シンプルさ」という一言に尽きます。
以前は技術的な面が障壁となり、ビジネスユーザーは自力で膨大かつ複雑なデータを活用できずにいました。当社が使用していた分析ツールは複雑だったため、価値のあるインサイトを引き出すためにデータ分析の専門家が必要でした。これは典型的なビッグデータのジレンマです。データ量が膨大であることはよいことであるものの、それを活用して実用的な提案を得られなければ意味がありません。
リソースが限られていたため、ビジネスユーザーがデータ分析の専門家の助けを必要とするたびにボトルネックが生じていました。結果として、顧客のニーズへの迅速な対応や、ビジネス課題の効率的な解決を行えない状態でした。
しかし、Amplitudeをデータプラットフォームと統合したことで状況は一変しました。現在、各チームは自分たちでデータ分析、イベントの設定、ファネルの作成、コホートの調査を行えるようになり、さらにデータサイエンティストの助けなしであらゆる分析ツールを活用できるようになりました。Amplitudeのインターフェースは非常にユーザーフレンドリーで、複数のサービスにまたがる分析であっても、データの複雑さや技術面での難しさを意識せずに作業を進められます。
なかでも私が特に気に入っているのが、、Amplitudeのポートフォリオソリューションについて再度お話ししたいと思います。当社のように多様なサービスを扱っている場合、すべてのサービスにおいて顧客を育成し、クロスセルを促す最適な方法を見つけるのは非常に困難な課題でした。しかし、Amplitudeのおかげでこの課題を効率的かつ効果的に解決できました。
Amplitudeをデータプラットフォームと統合したことで状況は一変しました。現在、各チームは自分たちでデータ分析、イベントの設定、ファネルの作成を行えるようになり、さらにデータサイエンティストの助けなしであらゆる分析ツールを活用できるようになりました。
すべての人にデータの力を現在、約400名の社員がAmplitudeを利用していますが、NTTドコモのすべての社員がデータの力を活用できるようにしたいと考えています。そのため、2024年末までに社内ユーザー数を1,500人以上に増やすことを目標としています。
すべてのチーム、部門、社員がデータから得られるインサイトを利用できるとしたらどうでしょうか。カスタマーエクスペリエンスをより効果的に向上させることで、複数分野にわたってビジネスの可能性を最大限に引き出すことができるようになるでしょう。
Amplitudeを活用することで、サービスを利用する顧客の行動を深く理解し、最も効果的なアクションを選択できます。私たちの目標は、ユーザー行動に関するインサイトに基づいて、ユーザーエクスペリエンスを改善し、ポジティブな変化を促進することです。
すべてのチーム、部門、社員がデータから得られるインサイトを利用できるとしたらどうでしょうか。カスタマーエクスペリエンスをより効果的に向上させることで、さまざまな分野にわたってビジネスの可能性を最大限に引き出すことができるようになるでしょう。

Takashi Suzuki
Managing Director of Data Department, NTT Docomo
Takashi Suzuki is the Managing Director of the Data Department at NTT Docomo. His goal is to help business teams extract as many insights as possible from massive data pools.
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